先日、人気タレントの島田伸介が突然の引退発表をして、日本の芸能界に大きな衝撃を与えました。理由は、暴力団体と付き合っていたことです。付き合うようになったきっかけは、数年前に、自分でどうすることもできない問題を抱えていた時に、暴力団体の幹部に解決してもらったことにあるようです。詳しいことは分かりませんが、あるテレビ番組で右翼団体のメンバーたちのことをけなすような発言をしたらしいのです。そこで、物凄い抗議活動が始まって、芸能活動を辞めなければならないと思うほどの大騒ぎになってしまいましたが、暴力団体とコネのある友人に相談したところ、幹部を紹介されたそうです。藁をもつかむ思いで、幹部に助けを求めたところ、不思議に抗議活動がピタッと止まった、というのです。その後、幹部に謝礼をしなければいけないと思って、お金を用意して、再び、幹部のところに行ったけれども、お金を渡そうとすると断られ、「勘違いをするな。俺たちはお金のためにやったのではない」というようなことを言われて、島田さんは感激して帰って行ったということです。

島田さんは非常に頭の良い人物ですが、とてもナイーブな一面も持っているようです。暴力団体の幹部はお金を受け取りませんでしたが、結局、もっと大きな代価を求めることになったのです。それはつまり、自分への絶対的服従です。島田さんは一生、幹部の言うことには逆らえないのです。私の推測ですが、恐らく、抗議活動を指示したのも同じ幹部ではないかと思うのです。やくざの世界においても、またカルトの世界においても、二つのキーワードがあります。権威(権力)とコントロールです。つまり、いかに自分の立場を保ち、自分に従う部下を増やすことができるか、これがすべてです。

やくざの世界と対象的に、イエス・キリストは、「サーバント・リーダー」(しもべ的指導者)の姿勢を示されました。

「そこで、イエスは彼らを呼び寄せて、言われた。『あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者と認められた者たちは彼らを支配し、また、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます。しかし、あなたがたの間では、そうではありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、みなのしもべになりなさい。人の子が来たのも、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためなのです』」(マルコの福音書10章42―45節)。

ここでキリストが指摘しておられるように、この世で一般的に見られるリーダーのあり方は、支配することと権力を振るうことが特徴です。また、そのような人間こそ、「強いリーダーシップを発揮している」と評価されるでしょうけれども、多くの場合、絶対的な権力をもって人々に命令する指導者は、自分の都合や利益や名誉を優先します。一方、キリストの教えでは、真の指導者は、人に仕え、人に与える人間です。それは言ってみれば、愛を示し、また模範を示すことによって人を動かすリーダーシップです。この世の常識で考えて、いまいち、迫力に欠ける指導者像であると言えるかも知れません。また、そのようなリーダーシップでは効率が悪いと批判されるかも知れません。しかし、人々に仕える人間こそ、人々の幸せを第一に考えていると言えるのではないでしょうか。

政治家に対する不信が募っている今、「サーバント・リーダー」の出現を期待したいものです。そのような人間が現われれば、日本の暗い社会に光が差し込むことでしょう。

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